
2009年03月02日
使いやすい階段とは
後輩が質問を持ってきました。
「ここの階段ですけど、どっちの階段が上り下りしやすいでしょうか?」
「どれどれ。」
大体、事務所内で寸法のマニュアルはありますが、スペースや見栄え、用途
などによって変えることも変えなければならないこともあります。
建築基準法上、住宅内の階段は踏面(足を置く面の奥行き)15㎝以上、
蹴上げ(階段1段の高さ)23㎝以下と決まっていますが、
大人の足のサイズを考えると15㎝の奥行きでは小さすぎますし、
子供や高齢者に23㎝の段差はきつすぎます。
後輩が持って来た2つの案は、その決まったスペースに
見た目よく納めるためにマニュアルを変えなければならないプランでした。
階段は、蹴上げが緩やかで踏み面が大きければ上りやすいかといえば
そうとも言い切れません。次の1段が遠くなり大股になったりします。
蹴上げと踏面の微妙なバランスが必要になってきます。
彼が考えたプランは、どちらもマニュアルより
その決まっているスペースに見栄え的にも構造上もきれいに納まっていました。
ただ、両方ともうちのマニュアルより数値がずれているため決めかねているよう。
そこで、
「どちらがより上り下りしやすい階段か知るのに良い算定式があるよ。」
と算定式を教えました。
それは、
55㎝≦2R+T≦65㎝
というもの。(R:蹴上げ T:踏面)
住宅金融公庫が出した算定式です。
「これにあてはめてみて、中間の60㎝に近い値になる方が
より使いやすい階段だよ。」
「分かりました。」
ふふん、ちょっと私ってば先輩( ̄ー+ ̄)。
少しして、
「どう? どっちの階段になった?」
「それが…。」
「ん?」
計算して出た値を見たら、
『57、3㎝』 『62、7㎝』
「・・・・。
もう、好みのほうにして。」
(前里 悦子)

Posted by AKS at 20:51│Comments(0)