萌芽

AKS

2010年08月27日 20:16

完成間近の物件での事です。
ベランダで工期や仕上がりについて現場監督と意見を交わしていました。
お互い意見がまとまらず焦燥感というか
どこか煮詰まっているような様子でした。

しばらくその場に立ち尽くしていると、
現場監督から「ごらん、虹が出ているよ」とありました。

見上げると、空には二人だけが感じている空気を
一変させるだけのものがありました。
通り雨の後のただの虹だったのですが、
お互いの目には虹以上に映ったのかもしれません。

二人はどちらからとも言わず瞳の奥を見合わせました。
そしてただ頷き、黙ってもう一度虹の方向へと視線を戻しました。


                     (山内)

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