来週も棟上げがあります。
ここのところ続いていますね。
この職業に就いてから、もう何度となく経験している棟上げですが、
毎回思い出す出来事があります。
それは、私が小学校低学年の頃、実家を建て直した時のことです。
私の実家は木造住宅なので、屋根の木材を張り終わると
上棟式が行なわれます。
うちの田舎では、神主さんを呼んでその屋根の上で上棟式が行なわれ、
その後、屋根の上からお餅やお菓子を投げて近所の人たちへ振る舞いました。
(今もあるかな〜)
ですから小さい頃は、近くで棟上げがあると聞くと、スーパーのビニル袋を
持ってお餅やお菓子を拾いに行ったものでした。
そしてその時、屋根の上に上がれるのは男性のみでした。
今でもそうなのかは分かりませんが、当時女性は上へ上ることは
出来ませんでした。
当時小学校低学年だった私はなぜかすごく屋根の上に上りたくて、
でもみんなが当たり前のように思っていることを口に出しきれなくて、
私の弟が父に連れられて屋根に上るのを見て、内心、
『どうして私より小さい弟が上れて、私は上れないんだろう。
どうしてうちの子じゃない従兄弟の◯◯ちゃんたちは上れて、
私は上れないんだろう。』
とすごく不満に思ったことを覚えています。
私の記憶の中で、
男であること、女であることを強く意識した一番古い記憶です。
どうしてそんなに上りたかったかは思い出せないんですが…。
そして、悔しかった私は、弟に、
「私、◯◯(弟の名前)の分までお菓子い〜っぱいとるもんね。」
と小学生ながらに嫌みを言いました。
嫌みを言われてると分からない幼い弟は、
『いいな〜、姉ちゃん。俺もお菓子とるほうがいいな〜。』
と、うらやましそうな顔をしたのを見て、内心満足していると、
そばで私の言葉を聞いていた親戚のおばさんが、
「えっちゃんは◯◯ちゃんの分まで取ってやるなんて優しいね〜。
お姉ちゃんだね〜。」
と言ってほめてくれ、私としては嫌みのつもりだったから
すごく恥ずかしくなった事も覚えています。
その記憶を今、上棟式のたびに屋根の上で毎回毎回思い出すのです。
だって、鉄筋コンクリート造で上棟式の方法は違うとしても
今は監理の私が、検査に立ち会ってOKを出さなければ
コンクリートを打つことも出来ないし、
職人さんたちが必死でコンクリート流し込みの作業をしている中、
一番全体がよく見える高い所で偉そうに監督している私がいるんですから。
あの頃、上に上ることもできなかった私が、今は(監理担当の)私がいないと
棟上げは始まらないわけです。
そう思うと毎回毎回同じことを思い出すのです。
最近になって、初めてこの話を私の弟にしました。
「それじゃ、夢がかなったんだね。」
と言われ、初めて自覚しました。
「そっかぁ。私の夢だったんだ。」
(前里 悦子)
←只今16位! 建築士っていうことではなくて、そのポイントが夢だったか^^;